老人ホームの類型と特徴を紹介

世間に知られている老人ホームには、民間施設の有料老人ホームや公的施設の特別養護老人ホームなどがあります。実はこれら以外にも様々な種類の老人ホームがあることはあまり知られていないかもしれません。それぞれの老人ホームについて、その特徴や入居するための条件を紹介しましょう。

さらに、入居する老人ホームを選ぶ際の注意点についても解説します。

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介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームのことで、介護・生活援助のみならず機能回復訓練やレクレーションを通して入居者の自立をサポートしています。介護以外のサービスが充実しているうえ、最期まで看取る体制が整っていることが特徴として挙げられるでしょう。

要介護度1以上の利用者のみを対象とする介護専用型・要介護と自立志向のいずれの利用者もいる混合型・自立志向の利用者のみの自立型の3つの類型があります。なお、サービスが充実しているだけに有料老人ホームの中では最も費用が高くなる点に注意しましょう。

言い換えれば、いずれの類型にしても高額の入居費を支払える資力があるのなら、入居先を見つけることはさほど困難ではありません。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームも、民間施設の1類型で比較的低い要介護度の利用者が多く入居しています。入居者同士のコミュニケーションを図るイベントに参加することを多くの利用者が楽しみにしている点が、大きな特徴と言えるでしょう。

利用者個人の趣味や嗜好に合わせた教室や講座も開講され、定期的に参加する囲碁将棋や茶華道の行事が生きがいになっている利用者も少なくありません。費用も介護付き有料老人ホームほど高くはありません。有料老人ホームの3割を占める住宅型有料老人ホームへの入居も困難とは言えませんが、人気が高く空室がすぐに埋まってしまう施設もあるので、見学後の判断に迅速さが要求されるケースもあります。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、まだ健康で何不自由のない生活を送っているがそろそろ老人ホームを探しておきたいという高齢者におすすめの民間施設です。介護は不要で自立可能という元気な高齢者の安否確認と生活相談が主要なサービスとなります。

介護のサービスは受けられないので、要介護度が上がると入居条件を欠くことになってしまう点に注意しましょう。その分自由度が高くのびのびと生活できることが魅力の1つとなっています。他の有料老人ホームと異なり、サービス付き高齢者向け住宅では利用者が賃貸契約を締結するので、礼金や敷金などが発生することも特徴となっています。

費用は住宅旗有料老人ホームよりやや高くなるものの、介護付き有料老人ホームほど高額ではありません。

グループホーム

グループホームは、住み慣れた地元で暮らしたいという希望を持つ認知症の高齢者が共同生活を営む民間施設です。入居者の世話をすべてスタッフが行う通常の老人ホームと異なり、グループホームでは入居者が料理・洗濯・清掃など役割分担をしてお互いの生活を支える点が特徴と言えるでしょう。

各自が責任を持って共同生活をすることが、認知症治療に効果があるのです。入居できるのは、要支援2から要介護5までの認定と認知症の診断を受けた高齢者です。さらに、施設と同地域に住まいのあることと集団生活ができることが入所要件となっています。

入居するには初期費用として数十万円から数千万円の保証金や一時金が必要なほか、月ごとに賃料・管理費や食費・光熱費などを併せて12万円ほどがかかります。施設の場所によって初期費用が大きく異なる点にも注意しましょう。

特別養護老人ホーム

公的施設で最も有名な老人ホームが、特別養護老人ホームと言えるでしょう。特別養護老人ホームは、費用が安いのに24時間体制の手厚いサービスが受けられる施設として人気が高く、入居希望者が多いのになかなか入れないのが現状です。

要介護度3以上の重度の高齢者しか入居できず、最期までしっかり看取るという点が大きな特徴です。長期入居が保証されるので、家族が次の入居先を考える必要が無く安心して預けることができます。介護保険で自己負担額をおさえられるため、出費に悩まされることもありません。

有料老人ホームには必須の入居金も、特別養護老人ホームには必要ないのです。

介護老人保健施設

病院に患者として入院していた高齢者が退院できたとしても、直ちに自宅で通常の生活を送れるようになるわけではありません。介護老人保健施設は、傷病で入院していた高齢者が退院した後、機能回復訓練を行って在宅の生活ができるようにサポートする公的施設です。

介護老人保健施設には常勤の医師がいるので、介護だけでなく医療のサポートも受けることができます。また、機能回復訓練の専門家である作業療法士や理学療法士が常駐して支援を行っている点も大きな特徴と言えるでしょう。

ただし、居室は相部屋が基本で、原則として個室はありません。また、在宅に向けての一時的訓練を施す施設なので、3か月から半年程度しか滞在できないことにも注意しましょう。入居費用自体はさほど高額ではありませんが、容体の変化によっては更に医療費がかかることもあります。

養護老人ホーム

養護老人ホームも特別養護老人ホームと同様に公的施設ですが、介護施設ではなく社会復帰を目指す利用者の自立支援目的の福祉施設です。

したがって、対象者は訓練次第で自立可能な高齢者で、入所期間も自立までが原則となっています。参考リンク>老人ホーム探し方

生活保護認定者など経済的に不遇な者の利用に限られ、費用は前年度の収入によって決まります。独居生活が困難な高齢者で身の回りの世話が自分でできない人が対象とされているものの、行政機関による入所許可がなかなか下りず入所は容易ではないでしょう。

ケアハウス

ケアハウスは、身近に支援してくれる近親者がいない孤独な高齢者の生活支援を行う福祉施設です。ケアハウスは個室が確保され、共同生活を強いられるストレスがありません。ただし、共有スペースでは入居者同士の交流も盛んで、レクレーションやイベントに参加する楽しみがあります。

食事や清掃などの生活支援だけで十分な高齢者を対象とする一般型ケアハウスと、要介護度1以上の高齢者を対象とした介護型ケアハウスの2つがあります。介護サービスのない一般型ケアハウスの費用は、初期費用が高くても30万円程度で月額利用料が6万円から17万円程度かかります。

一方、食事や入浴の介護を行う介護型ケアハウスでは初期費用が1千万円と高額になるところもありますが、月額利用料は一般型とさほど違いはありません。介護型ケアハウスでは要介護度が上がっても入居を続けられますが、費用も値上がりすることがあるので注意しましょう。